ITでマネタイズ?越境EC!何処でどう稼ぐか探る為のビジネスモデル5領域をわかり易く

手法

 本ブログでは企業前線で本業(研究、開発、営業、サービス、スタッフ業務等)に従事しながらも、その本業をスムーズ進めるために、専門外のマーケティング、特にITに係るマネタイズ、ビジネスモデルも考えなけれぱならない方々への情報支援をしております。

 このシリーズではIT時代の象徴的ビジネスとも言える『越境EC』で自社のプロダクト(ここではモノとしての商品、サービス、技術、ライセンスコンテンツ等、取引の対象となり得るもの全てを含みます)をマネタイズする為にキーとなるプレーヤ5領域と夫々のビジネスモデルについてわかり易く解説します。これを俯瞰的に知る事により自社の立ち位置と目指す先、そしてそこに至る最適の道を探ることに役立ちます。

👉本ブログでは『ビジネスモデル』は「価値を提供して収益を上げる仕組み」、『マネタイズ』はその中核にある「収益化」部分と捉えてご説明します。例えばGoogleの『ビジネスモデル』は「検索サービス」の「価値提供」と「広告連動」の『マネタイズ(収益の仕組み)』から構成されていると見ることができます。当然片方だけではどんな事業も存在、継続できず、両方のバランスを見ながら、最適の道を探るのがあるべき企業活動と言えますので、今回テーマでもご自身のプロダクトの両面を念頭に置きながら、読んでいただければより腑に落ちやすいと思います。

1. 越境ECで稼ぐビジネスモデル5領域

 ここでは、越境ECに企業や個人事業主がプレーヤーとして参画する代表的なビジネスモデル5領域とそれぞれの特徴 (「1.定義」「2.マネタイズ」「3.提供価値」「4.参画形態」)の全体を俯瞰します。プレーヤーによっては複数の領域に関わりマネタイズを倍加するビジネスモデルも見られます。ご自身の現在や将来のプロダクトは何処の領域にいて各条件をどれだけ満たしているか確認頂き、その現況を踏まえて、何処とどの様に連携するのが最適か、この後の章でチェックする、そんな読み方も可能です。

1.1 販売業者

著名なメーカーや商社販社から個人事業主に至るまで、規模の大小を問わずプロダクトの製造からそれを自ら販売(再販含め)するグループです。

  1. 定義!メーカー又は販売業者としてプロダクトを直接提供し国境を越えて販売します。
  2. マネタイズ!提供プロダクトの販売(ライセンス等含む)から収益を得ます。
  3. 提供価値!自社のブランド力や提供物の品質を価値として提供します。
  4. 参画形態!大きく分けて自社ECサイトから又はマーケットプレイスセラーとしてEC市場に参画します。

1.2 マーケットプレイス

 自らは製造&販売する商流に入らず、世界規模からローカル市場、総合アイテムから業種をしぼったものまで、売買取引の場(マーケット)を提供するグループです。

  1. セラー(販売業者)とバイヤー(顧客)をつなげるサイトを運営します。
  2. プロダクト出品料、取引手数料、広告料等で収益を得ます。
  3. 自社の強みを活かしたマッチング環境、プロダクト管理、情報提供等で価値提供します。
  4. 主に販売系(店舗)や情報系(SNS)事業者がその経験ノウハウを活かしてマーケットプレイスオーナーとして参画します。

1.3 プラットフォームプロバイダー

越境ECのITインフラを担うグループです。技術範囲は多様で、通信からネットワーク、セキュリティ、マルチメディアまで、越境ECのエコシステムをIT要素で支える為の技術となりますので、技術カテゴリーにより夫々のマネタイズ、ビジネスモデルも(今回テーマではそこまで触れませんが)異なります。

  1. IT技術企業として越境ECのプラットフォームを提供します。
  2. プラットフォーム利用料や手数料、保守サポート等で収益を得ます。
  3. マーケットプレイスを効率的に運用する技術的価値を提供します。
  4. サービス側のアプリ層から汎用系インフラ層までそれぞれの得意分野で参画します。

1.4 ロジスティクスプロバイダー

 越境ECでは世界的なネットワークが求められますが、勿論、自社だけでグローバルな配送は不可能ですので、ローカルからでも他エリアのプロバイダと連携しながら独自ビジネスも展開できます。

  1. 国際輸送業者や倉庫管理会社として国境を越えた配送をします。
  2. 管理手数料や輸送費などを通じて収益を得ます。
  3. 各商品の価値をデリバリーで完結させる価値を提供します。
  4. 自社得意分野(エリア、業種)のロジスティクスに参画します。

1.5 ファイナンスプロバイダー

 越境ECでは1.3のITプラットフォームプロバイダーとの連携が他領域より重きを置くグループです。越境ECは決済フローがボトルネックで初期段階で取引対象から脱落する世界ですので、他領域のプレーヤーが自らのビジネスモデルを完結させる為に 自らこの領域のプレーヤーとして参画するケースも見られます。

  1. 異なる国や地域間の支払いや金融サービスを提供します。
  2. 各サービス使用料、取引手数料等で利益を得ます。
  3. 国際決済の円滑化、簡素化、セキュリティの価値を提供します。
  4. 各プレーヤーのサービス連携、統合の仲介者として参画します。

まとめ:越境ECで稼ぐ5プレーヤ

 貴方の現在と将来可能な提供価値から最大収益を得るためには、何処の領域に参画し、何処の領域とどのような形態で連携すべきでしょうか?この5領域の存在とビジネスモデル(提供価値とマネタイズ手法)を念頭に置いてご判断進められると有用です。

  1. 販売業者
  2. マーケットプレイス・オーナー
  3. プラットフォーム(PF)プロバイダー
  4. ロジスティクス・プロバイダー
  5. ファイナンス・プロバイダー

2. 5領域ビジネスモデルの稼ぐ条件

 ここでは各プレーヤーのビジネスモデルで収益を上げる為の条件を列挙します。自社の各条件の達成度をチェックし、マネタイズする為に他領域のどの条件を満たしたプレーヤーと連携し、自社のビジネスモデルを構築すべきか、投資(時間、コスト、人)バランスを考慮しながら方向性を探ることができます。

2.1 販売業者

自社(商品、サービス)の能力を各条件に照らして評価して越境EC戦略に反映させます。

  1. 対象市場のビジネス性(収益性、将来性等)
    • 対象市場のポテンシャル(規模、成長率、競争状況、消費者の購買力等)がある
  2. 規制・法的要件
    • 国内外の規制(関税、輸入制限、輸出規制、税金、消費者保護、知的財産権保護等)及び現地法的要件(販売に必要な認証、ライセンス、商品品質、安全基準)を満たす。
  3. 物流と配送システム
    • 商品の国際輸送や関連手続きに要する時間とコスト対応力(輸送関税手続き、返品交換処理等)及び必要な物流パートナーやシステムを有する。
  4. 支払いと通貨対応
    • 国際的取引での異なる通貨の取り扱いや為替リスク、クレジットカード処理やオンライン決済プラットフォームの対応など、支払いと通貨に関する課題をクリアできる。
  5. カスタマーサービスとローカライゼーション
    • 顧客サービスレベル(文化や習慣に基づく常識、法的な顧客へ義務(サポート、キャンセル、返品処理等)に対応できる。
  6. プラットフォーム
    • 自社でのECサイト運用とマーケットプレイスセラーとなる場合のメリット、デメリット、リスク等を踏まえたバランス戦略を取れる。
  7. マーケティング
    • 参入対象市場状況(現地消費者動向、現地EC競合状況等)を踏まえたマーケティングが遂行できる。

まとめ:販売業者で稼ぐ要件

貴方は夫々の条件を現在と将来どれくらい達成できますか?目標達成の為のリソース(ヒト、モノ、カネ)の見込みは如何ですか?それを踏まえて、何処の領域プレーヤーとどの様に連携しますか?

  1. 市場のビジネス性
  2. 規制と法的要件
  3. 物流と配送
  4. 支払いと通貨
  5. カスタマーサービスとローカライゼーション
  6. プラットフォーム
  7. マーケティング

2.2 マーケットプレイス

個々のプロダクトの商品性能でなく、ご自身の企画力と連携力に見合った規模が得られます。

  1. ITインフラ環境:
    • 自社のマーケットプレイス戦略(自社得意分野、対象市場、運営方針)とプラットフォーム仕様(可用性、スケーラビリティ、セキュリティ等)が合致する。
  2. 地域の規制と法律:
    • 各国や地域の異なる規制や法律に必要なコンプライアンスを遵守できる。
  3. 国際決済システム:
    • 各国ごとに異なる通貨、国内の規制、地域単位の消費者の利便性や好みを踏まえた多様な決済オプション(異なる通貨、支払い方法、国際的プロバイダーとの提携)を提供できる。
  4. 物流と配送:
    • 国際的物流に関するリスクや諸コスト(配送時間、送料、関税、カスタム手続き等)を踏まえた効率的な物流ネットワークを構築できる。
  5. マーケットの需要と競争状況:
    • 対象地域の市場需要と競争状況と市場のポテンシャル、現地の顧客の購買パターン、好み、文化的な違いなどを踏まえたマーケティングを実行できる。
  6. 言語と文化の適応:
    • 各国言語と各地域の文化的なニーズや好みに合わせた商品戦略を実施できる。
  7. 顧客サポートとアフターサービス:
    • 各国に必要な顧客サポートとアフターサービスレベルを踏まえた体制(24時間、多言語サポート、ローカライズ等)を構築できる。

まとめ:マーケットプレイスで稼ぐ要件

貴方の企画力、連携力はどれくらいでしょうか?目標達成の為のリソース(ヒト、モノ、カネ)の見込みは如何ですか?それを踏まえて、何処の領域プレーヤーとどの様に連携しますか?

  1. ITインフラ環境
  2. 地域の規制と法律
  3. 国際決済システム
  4. 物流と配送
  5. 言語と文化の適応
  6. マーケットの需要と競争状況
  7. 顧客サポートとアフターサービス

2.3 プラットフォーム(PF)プロバイダー

基本的にはコアとなる技術領域が必須ですが、日進月歩のIT領域を独立で確保、維持はほぼ不可能ですので、ここも連携力と更に飲み込まれないための一定のスケールが必要です。

  1. プラットフォームのビジネスモデルと規模:
    • プラットフォームのビジネスモデルに必要な成長率やユーザー数、取引量などの規模がある。
  2. プラットフォームの費用構造:
    • プラットフォームの費用回収の方法や収益モデルがある。
  3. ライセンス交渉と契約条件:
    • プラットフォーム提供の基本要件(ライセンス料、利益分配の条件、契約期間、解約条件等)とライセンス交渉の手順要件(社内承認ステップ、妥協可能なレベル)を満たしている。
  4. 技術提供の方式:
    • プラットフォーム技術の提供方法(APIの提供、プラットフォーム固有ツール、ソフトウェア利用等)、他社技術との統合や連携の手法、自社のITインフラとの互換性が確保できる。
  5. セキュリティとデータプライバシー:
    • プラットフォームで取り扱われるデータ(顧客データ等)のセキュリティ対策やデータプライバシーに関するポリシーがある。
  6. サポートとカスタマーサービス:
    • プラットフォームのサポートやカスタマーサービスの品質要件を満たす。

まとめ:PFプロバイダーが稼ぐ要件

貴方のIT技術力でマネタイズ可能なドメインを確保できますか?目標達成の為のリソース(ヒト、モノ、カネ)の見込みは如何ですか?それを踏まえて、何処の領域プレーヤーとどの様に連携しますか?

  1. プラットフォームのビジネスモデルと規模
  2. プラットフォームの費用構造
  3. ライセンス交渉と契約条件
  4. 技術提供の方式
  5. セキュリティとデータプライバシー
  6. サポートとカスタマーサービス

2.4 ロジスティクス(ロジ)プロバイダー

 このグループは越境ECの他領域に比べて人的リソースへの依存度が高いので、企画力、マーケティング力だけては立ち行かないリスクも踏まえて各条件を評価する必要があります。

  1. 採算性:
    • 参画市場で収益性、市場規模、需要予測、競合他社踏まえた、採算性の見込める参入業務領域がある
  2. リスク管理:
    • 越境ECに伴う法的・規制上のリスク、貨物の紛失や損傷による物流リスク、為替リスクなどに対応できる。
  3. 国際物流の専門知識:
    • 国際物流に必要な知識(国際輸送、税関手続き、輸入規制等)経験がある。
  4. グローバルネットワーク:
    • グローバルな物流ネットワーク市場での効率的な輸送ルートやパートナーシップが見込める。
  5. カスタマーサポート:
    • 顧客のカスタマーサポートの品質レベル、顧客問い合わせクレーム処理への対応体制がある。
  6. 技術インフラストラクチャ:
    • 効率的な物流プロセスに組み込まれるために必要な技術インフラ、物流システム(在庫管理、追跡、注文処理等)の改修や導入ができる。
  7. パートナーシップとネットワーク:
    • 各配送エリアのパートナーシップやネットワークを踏まえ、必要な関係先(地元の配送会社、税関ブローカー、地域の法律事務所等)との関係構築手順がある。

まとめ:ロジ・プロバイダーで稼ぐ要件

貴方の企画力、とりわけ連携力はどれくらいでしょうか?目標達成の為のリソース(ヒト、モノ、カネ)の特に将来の人手不足も考慮した見込みは如何ですか?それを踏まえて、何処の領域プレーヤーとどの様に連携しますか?

  1. 採算性
  2. リスク管理
  3. 国際物流の専門知識
  4. グローバルネットワーク
  5. カスタマーサポート
  6. 技術インフラストラクチャ
  7. パートナーシップとネットワーク

2.5 ファイナンス・プロバイダー

 このグループはより大きな連携網を構築するための構想力と迅速な営業力が求められます。一度勢力図ができてしまうとそれを覆すのは他領域の競合関係に比べて難易度が高いと言えます。

  1. 取引対応ソリューション
    • 異なる通貨や法的制度を持つ国々間での取引を円滑に行うためのソリューションが提供できる。(国際決済プロセッサ、決済ゲートウェイ、仲介決済業者、金融機関など)
  2. マネタイズの方式:
    • さまざまなマネタイズの方式を使用してビジネスモデルが構築できる。(取引手数料、通貨両替手数料、金利収入、サブスクリプションモデル)
  3. 国際決済の円滑化:
    • 異なる通貨や支払い方式を利用する国々間での取引を簡素化し、円滑に行うための仲介役として機能できる。
  4. 支払いオプションの拡大
    • 国や地域ごとに異なる支払い方法や決済手段を提供し、顧客に選択肢を提供できる。
  5. 信頼性とセキュリティ
    • 安全な支払いプロセスと顧客情報の保護を提供し、顧客の信頼を確保できる。(暗号化技術や詐欺検出システムの導入、セキュリティプロトコルの遵守など)
  6. 金融サービスの拡充:
    • 越境EC市場において、融資やクレジット、保険などの金融サービスを提供することで、売り手と買い手のビジネスニーズを満たすことができる。
  7. カスタマーサポート:
    • 顧客に対して専門的なサポートや助言を提供することで、取引プロセスや金融手続きの円滑化支援できる。

まとめ:ファイナンス・プロバイダーで稼ぐ要件

 貴方の構想力、連携力、迅速性はどれくらいでしょうか?目標達成の為のリソース(ヒト、モノ、カネ)の見込みは如何ですか?現在の整理力図を塗り替える為に、何処の領域プレーヤーとどの様に連携しますか?

  1. 取引対応ソリューション
  2. マネタイズの方式
  3. 国際決済の円滑化:
  4. 支払いオプションの拡大
  5. 信頼性とセキュリティ
  6. 金融サービスの拡充
  7. カスタマーサポート

3. まとめ:越境ECで稼ぐビジネスモデル5業種とその要件

以上、越境ECビジネスモデルのメイン5領域とそれぞれの収益要件をご紹介致しました。今回テーマはマクロ的にみた入口部分までですが、個々業種の詳細につきましては別テーマで順次解説してまいります。

Takeawy:今回お持ち帰りアイテム

  • 越境ECで稼ぐ主なビジネスモデルとして5領域あること。
  • その5領域(プレーヤー)でビジネスモデルを成立されるには夫々の収益条件を満たす必要があること。
  • 自社の現在と将来のプロダクトと対象となる領域から各条件の達成状況が確認できること。
  • その評価結果を踏まえ最適と思われる目的地、連携先、連携バランスに検討を加えられること。

御礼🔶あとがき

お忙しい中、今回も最後までご覧いただき大変ありがとうございました。今回テーマ含め今後も定期的にブラッシュアップして参りますので、引き続きご参照のほど宜しくお願い致します。🔶Gold

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